こういう、そのままそっくり書き写すというところから入るということで、ふと思ったのは西洋医学が入ってきたときの感じに似ているということです。要するに、日本にはそれまでなかった医学が、別に医学でなくても哲学でもいいのですが、長崎から入ってくるので学びに行きますが、学ぶと言っても向こうからのたった一つの書物を書き写すところから始まっていますよね。誰が教えてくれるのでもない。例えば医学の本だったら、内臓がこうなって胃がこうなって、分からないままに筆で書き、書いたものを持って帰る。何か分からないけれどとやっているうちに、こうじゃないか、ああじゃないかということで広がっていったと思います。

書き写すということは、基本だということです。それから広がっていくし、自分の中でまず身につき、覚えます。そしてそれが自分の中に入っていくということだと思うのです。